ニュースの概要
物流ニュースのLNEWSによると、近鉄エクスプレスが2026年9月の月次実績を公表した。航空輸出の混載貨物(複数の荷主の荷物を一つにまとめて運ぶ方式)の重量は、前年同月より3.7%増えた。一方、航空輸入の通関件数は4.0%減っている。輸出側では運ぶ量が伸び、輸入側では手続きの件数が縮んだことになる。同じ航空貨物でも、方向と指標によって動きが食い違う月だった。重量は荷物の総量を映し、件数は荷主や貨物の数に近い単位を映す。この二つの数字を並べると、単純な好不調では片づけられない荷動きの変化が見えてくる。
引用元: 近鉄エクスプレス/9月の航空輸出混載重量3.7%増、航空輸入通関件数4.0%減(物流ニュースのLNEWS)
分析・見解
重量は増え件数は減る、二つの数字のずれが示すもの
航空輸出の混載重量が3.7%増えた一方で、輸入の通関件数は4.0%減った。ここで注意したいのは、二つが別の物差しだという点である。重量は荷物の総量であり、件数は申告の回数だ。一件あたりの荷物が大きくなれば、件数が減っても総量は保てる。逆に、小口の荷物が減れば、件数だけが大きく落ちる。
つまり、4.0%減を輸入が弱いとだけ読むのは早い。件数の減少が荷主の数の減少なのか、一件ごとの大型化なのかで、意味は大きく変わる。月次の速報だけでは断定できない。重量や品目の内訳と合わせて見る必要がある。
輸出の伸びを支えやすい要因を整理する
混載は、荷主が機材の枠をまるごと借りるより小さな単位で出せる方式だ。製造装置の部品や自動車部品など、納期が厳しく単価の高い貨物と相性がよい。海上輸送では日数がかかる品を航空に切り替える動きは、過去にも繰り返し起きてきた。2021年前後の海上コンテナの混乱期には、緊急の航空振り替えが実際に増えている。今回の3.7%増も、こうした急ぎの需要の底堅さが一因かもしれない。ただしこれは推測であり、原因は各社の公表資料で確かめる必要がある。
運賃の水準も見逃せない。航空運賃や燃油の追加料金が落ち着けば、航空を選ぶ荷主は増えやすい。反対に高止まりすれば、荷主は海上へ戻る。
輸入側で件数が減る背景を三つの角度から見る
第一に、国内の消費や設備投資の勢いがある。円安が進む局面では輸入品の仕入れ値が上がり、発注を絞る企業が出る。第二に、輸送手段の切り替えがある。運賃が落ち着けば、急ぎでない荷物は海上に戻る。第三に、小口の越境通販の動きがある。この分野は件数に大きく効くため、少しの変動でも比率が動きやすい。三つのうちどれが主因かで、今後の見通しは変わる。
一か月の数字で判断しない姿勢が要る
月次の増減率は、前年の水準や営業日数、祝日の並びでも動く。9月は連休の位置で稼働日が変わりやすい。3か月の平均や、同業他社の同月実績と並べて見たい。ただし、各社は荷主の業種構成が違うため、そのまま比べると誤読しやすい。それでも、輸出が伸び輸入が縮むという向きの違いは、貿易の流れが一方向ではないことを思い出させる。自社の取引がどちらの流れに乗っているかを、数字で確かめておく価値は大きい。
ビジネスへの影響
輸出企業は混載の枠と納期の余裕を見直す
輸出が伸びる局面では、混載の枠が埋まりやすくなる。年末の繁忙期に向けて出荷が集中する週が先に分かっているなら、貨物の手配を担う会社に、早めに数量の見込みを伝えたい。見込みを共有しておくと、枠の確保や運賃の交渉で有利に働く場合がある。また、急ぎの出荷を航空に頼り続けるか、一部を海上に移すかは、在庫を持つ費用と比べて決める。納期に二、三日の余裕を持たせるだけで、選べる手段は広がる。
輸入企業は件数の減少を運賃交渉に生かせるか
輸入の通関件数が減れば、空いた枠が出る可能性はある。ただし、重量が保たれているなら、運賃は下がりにくい。自社の取扱量を示したうえで、運賃や通関手数料の見直しを相談する余地はある。小口の輸入が多い企業は、荷物をまとめて出荷して件数を減らすと、申告の手間と費用を抑えやすい。
数字を社内で使える形にする三つの手順
一つ目は、自社の出荷を重量と件数の両方で月ごとに記録することだ。二つ目は、取引先の物流会社の公表値と自社の動きを並べ、ずれを見ることだ。三つ目は、ずれが二か月続いたとき、運賃や輸送手段を再検討することだ。公表値は市況の目安であり、自社の契約条件にそのまま当てはまるわけではない。最後は自社の実績で判断したい。
